仙台空港カントリークラブ(宮城県)会社更生手続開始を申立
- 2023.05.11
令和5年5月9日、㈱エイチ・ジェイと会員債権者の一部が共同で東京地裁から調査委員選任、負債総額は約7.5億円
仙台空港カントリークラブの経営を巡り新旧経営陣対立が表面化していたが、同CCを経営する㈱仙台空港カントリークラブ(以下SKCCと略)の運営を支えていた旧経営側と会員債権者25名が共同で2023年5月9日、SKCCの会社更生手続き開始の債権者申立を東京地裁に行い、同日付で調査命令が発令された。
申立会社は、米原GC(千葉県)運営会社でもある㈱エイチ・ジェイ(以下HJと略)。
申請代理人によると、HJはSKCCに対して約1.8億円の貸付金を有する最大の債権者で、2023年1月までSKCCの運営を支援し、グループで国内9コース、海外17コースを運営するゴルフ場運営の専門企業。SKCCの2022年12月31日自伝の負債総額は、債権者約1900名に対して約7.5億円。
申立に至った理由としては、SKCCは2004年に韓国系の㈱ルートン・ジャパンをスポンサーとする再生計画の認可決定後、2008年にSW開発㈱が承継し、同開発の100%子会社となった。株主構成は、HJの親会社である㈱韓国産業洋行(以下HKIと略)が50%、㈱ディ・アイジャパン(以下DIJと略)が50%。その際に、SKCC代表者はHJから、SW開発の代表者はDIJから出す取り決めになったという。
当時、SW開発はゴルフ場運営の実績を有していなかったため、多数のゴルフ場の運営実績があるHKI子会社のHJが仙台空港CCの運営指導、経営指導を行うことになり、以降順調に運営されてきたという。ところが、SW開発は2023年2月に突如、HJから派遣していたSKCCの役員を解任したとして、SKCCとHJが締結していた運営指導、経営指導に関する契約を解除した。これによりHJの役職員らは仙台空港CCの運営指導、経営指導から締め出されたため今後、「SKCCによる仙台空港CCの運営は立ちいかなくなる可能性が高いと思われます」と説明している。
背景として、昨年末にDIJが、自社の保有するSW開発の株式全部をHJやHKIに何ら相談することなく、東京に本社のある㈱WOコンサルティング(以下WOと略)に譲渡したことにあるという。また、WOは、2022年12月27日に仙台空港CCにおいてSKCCの臨時株主総会を開催したとして、HJ取締役と兼任していたSKCCの取締役2名と監査役1名を解任し、代わりに”ゴルフ場に縁もゆかりもない者”2名を取締役として、同時に、WOの代表取締役小沢洋介氏をSKCCの監査役として選任し、その旨の登記をした。”しかしながら、HJとしては、そのような臨時株主総会は行われておらず、株主総会決議も存在していないと考えています”と表明している。
これらの事態は2023年2月1日に、小澤氏らがSKCCの事務所を訪れ、SKCCの従業員らに一方的に通知された。それまでの支配人は解任され、新しい支配人として、SKCCの元の支配人で、”パワハラや資金の私的利用等の不正行為を理由に事実上免職された者が再び就任し、案の定SKCCの従業員らを不当に締め付けるなど繰り返して従業員らの反発を招いており、現場は著しく混乱していると聞き及んでいます”とも付け加えている。
この事態に当たり、HJの趣旨に賛同を得られた会員債権者と共同で対象会社の更生手続き開始の申立を行ったという。
HJでは、5月17日午後6時から会員説明会を開催する予定で、会員に案内文を送付したとしている。
※2023年5月12日 ゴルフ特信第6937号より